2019年5月9日木曜日

デーモンライン

というゲームを作りました。その開発後記です。


unityroomでの4つ目の作品は謎のシミュレーションゲームとなりました。その制作のお話です。


プレイはこちらからどうぞ → 「デーモンライン」
※PCのみ動作



GW直前、unityroomでゲームジャムがあるという噂を耳にしました。




私はオンラインでのゲームジャムもunityroomも大好きなので、このイベントに参加せずにはいられませんでした。それまで作っていたよく分からない作品をエター倉庫にしまって鍵を掛け、来るべきGWを待つことに。



GW前半はふつーに仕事でしたが、GWを満喫する人々を見ながら企画を考えることのなんと楽しいことか。有限の時間のなかで「今日は帰ったらあれやって、これやって…」って考えるとき最高に幸せですよね。




令和になってから頭のなかの企画書に従ってゲーム画面をつくり始めました。画像素材はデータつきの素材本から。このときは工数をまったく考えずに色々な仕様を妄想していました。

  • コンセプトは恋愛シミュレーションゲームの逆、気に入らない人間のもとに悪魔を送って徐々に病ませる

  • 介入できるノベルゲー、程度の簡単なゲームシステム


最初に決めたのはこの2点でした。この軸とも言える部分を決めることが出来たのが今制作一番のファインプレーでした。そこから色々と仕様足したい病によって余計なシステムを作りたくなっていきます。

  • ただクリックするだけだと面白くないから、魔王(プレイヤー)側にも耐久値をつけて、一定時間ごとに人間の部隊が攻撃してくるようにしてはどう?

  • 魔物を送るだけじゃなくて防御も選べるようにすればゲームっぽくなるかも?

  • 敵に贈った魔物の組み合わせによって特別な効果が?

  • 召喚できる魔物をだんだんランクアップさせていくのは?


色々考えましたが、「最初の簡単な仕様をクリアできて、時間があまったら実装OKだよ!」と私の中のディレクターは言いました。よーしがんばるぞー!と私の中のプログラマーはやる気を出しました。


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ところがGW後半、ディレクターやプログラマーが毒ダメージを食らい続けているような状態になっていきます。一体なぜ?そのおそるべき理由もまた沢山あるのでした。

  • 登場人物のセリフを決めるのがすっごく難しい

普段からブログで書き書きしてるし、セリフなんて余裕でしょ!と思いきや、ただ喋らせるだけでも相当気を使います。シナリオライターなんてゲーム開発には要らないよね!とか思っててすみませんでした…。

セリフとかストーリーがあるゲームはライターさん必須だと思います。すっごく時間もかかるし、ぜんぜん簡単じゃないよ…やらなきゃわからないこの大変さ。ほんと何の役職でもいいから人手が欲しい。

  • セリフの分岐の量がやばい

ただ「魔物を転送」じゃ面白くないから魔物に種類があったほうがいいよね!という脳内クソプランナーの提案により、魔物の種類の数だけ登場人物のセリフが増えました。プランナーぜったいゆるさん。

当初は王族・領主・騎士・兵士・市民・村人とそれぞれの階級で3人くらい、計18人くらい喋らせる予定でした。更に魔物によって死亡したら追加で次の人に代われるようなシステムを考えていました。


無理。ぜったい無理。18人とか死ねる。まず私が死ぬ。モンスター1体増やしたらセリフ18個増えるって事でしょ?睡眠削ってもみっそんいんぽっしぶるですわ。

頭お花畑のクソプランナーをクビにして、ディレクターに「全部で6人でいいよね?」と確認を取りました。ディレクターは死にかけていたのですぐOKを出しました。せめて12人くらい登場させたかったよ…。

  • やっぱりセリフの分岐の量がやばい

王城内が崩れたら市民もそのことに触れるセリフを…みたいな感じで、お隣さんが襲撃されている時にもリアルタイムでつぶやきが変化するようにしたかったんです。

ところがいくらセリフを書いても書いても終りが見えず、残り3日で「あっ、これは無理」となったので全ボツに。6つあった転送先も半分に減らし、それぞれ独立した耐久力をもつことになりました。魔物を送る → 耐久が減る → セリフが変化する、という単純なシステム。


結局いくつセリフを書いたのかというと300いかないくらいでした。数字で見るとたったこれだけという印象ですが、GW後半は慣れない作業により意識が朦朧としていました。狂ったように叫ぶ人間たちのセリフは、制作中の私の気持ちがそのまま出てたような。




システム実装とセリフ考案を交互にすることで、飽きのこない永久作業が可能!これが賢い人間のやり方だよね~ウェヒェヒェみたいな感じで進めていましたが、だんだん玄海が近づいていきます。爆肉鋼体。

やろうとしていたことを削ぎに削ぎ落として、なんとかGW中の期限内に終わらせるというのが目標となり、締め切りから逆算して計画を立て、そのあとは作業作業作業でした。


最終的にチームみやこがどうなったのかというと…。


プランナー:クビになったショックで死
プログラマー:過労死
グラフィッカー:素材本
デザイナー:最終日にOPとEDを作って殉職
シナリオライター:過労死
サウンドディレクター:UnityFreeAssets様様
総合ディレクター:馬車馬のあと泥のように眠る、そのまま永眠
プロデューサー:開発を横目についったのTLを眺めつつ、完成をつぶやいて、いまウキウキでこの文章を書いてる


生きている役職もあるみたいで良かったです。ぜんぶ私だけど。

ゲームジャムのたびに思うのですが、締め切りがあるとはいえ今後は仕事や生活に支障のでない範囲でがんばることにしたいです。最終日に死ぬ気になれば何とかなる、っていうのが習慣化してしまうとまずいので。


ただ有難いことに多くの嬉しい感想を頂いており、実験的な作品だと思ってつくった割には反応が良くてびっくりしています。あたたかいコメントのほか、いいねやリツイート等も本当に励みになってます、皆さまありがとうございます。




開発の裏話


企画当初はツイッターやラインのように上からセリフがランダムで流れてくるようにしたかったのですが、動かしてみると初めて見る登場人物が何人も続けてつぶやくと誰が誰だかまったく覚えられないことがわかり、身分ごとに分けることに。ゲーム名の「ライン」は皆さんご存知の緑色おしゃべりツールのことで、企画の名残です。


最初は全員が狂ったり死んだりして終わる、好きな人間を選んで苦しめる事が出来る、という点を売りにしようと思っていたのですが、試しにセリフを入れてプレイしてみたらあまりにも救いがなく、これはまずいよね…ということで急遽セリフを書き直し、市民は生き残る+ギャグ成分多めの調整に…。でも判断としては正解でした。



その他、製作期間の都合でカットした登場人物たち

【ばっふァー@領主】
国に収める税金のことで神経質。だいたい何かに怯えている。

【ウニチィ☆2019歳@冥土】

ばっふぁー家のメイド。短いつぶやきが特徴。領主が死ねばいいといつも思ってる。

【もーにんぐ@騎士隊長】

きびきびした口調のうつくしい女性。本名は朝子。騎士のサボりをよく見張ってる。

【カーネル・ブースター@門番】

ポジティブなおじいちゃん。コッコ門を長年守っている。たまにボケる。

【シックスるーまー@行商人】

儲かっている商人。死なないようにうまく立ち回る。謎のものを売る。

【デビルハンバーグ@肉屋】

過激なつぶやきの肉屋さん。パン屋の100倍人気。何の肉かは秘密。



ー参考文献ー

・ゲームシナリオのためのファンタジー時点
・西洋職人図集 17世紀オランダの日常生活
・F FILES No.27 図解 悪魔学


ー素材本ー

・OLD PAPER Collection 古い紙 素材集
・西洋の装飾素材


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デーモンラインはゲーム制作をはじめてから4作目の作品なのですが、実はこれまでの4作品アニメーションを一切使ってなかったので、次はアニメーションをつかった作品が作れたらなーと何となく思ってます。


また、unity1weekの時と同じように、今回のゲームジャムroom6gj2019の各作品も満遍なく遊ばせて頂くつもりです。プレイの感想記事もなるべくはやめに更新しようと思います。


最後に、ゲームジャムを開いてくださったroom6の方々とまさしさん(@masashihan)様、unityroomをUnity2019.1対応にしてくださったnaichi様、そしてデーモンラインをプレイしてくださったすべての方に感謝します。どうもありがとうございました。




おわり。
 

2 件のコメント:

  1. こんばんは。ゲーム制作お疲れ様でした。僕的にはデーモンラインは今回のゲームジャムで投稿された作品の中で一番面白かったです。好みの問題でもあると思いますがダントツでした。

    (カットされた登場人物設定だけでご飯3杯はいけます)

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    1. コメントどうもありがとうございます、一番面白いと言われて嬉しくない人間はいないので、3回まわってぴよぴよニャアと鳴くほど嬉しい気持ちで満たされております。

      カットせざるを得なかった人間たちは私の力量不足で日の目をみることができなかったので、彼らに申し訳ないなという気持ちもあり…ご飯とともに消化していただけたら私としてもありがたいです…!

      コメントを励みに、今後も面白かったと言ってもらえるような作品を目指していきたいです。がむしゃらさんも制作お疲れ様でした!

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